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大人のためのおはなし会 第49回 ―秋― 2025年11月

  • mslib2014
  • 4 時間前
  • 読了時間: 5分

 2025年11月21日(金)は、玉川ボランティアビューローでの「大人のためのおはなし会 第49回―秋―」でした。風もなく穏やかな秋晴れの良いお天気で、6名の方がおはなしを聞きにいらして下さいました。

初めのおはなしは日本の昔話で「さといもこぞうととうふどん」。夜、ねずみに転がされたさといもこぞうがぶつかってきて崩れてしまったとうふどん。明日美味しく煮てもらおうと思ったのに・・・。元に戻せ~!と怒っています。大根、にんじん、ごぼうがやってくるたびに元に戻せ~!と文句を言っていました。でも、大きな醤油樽が「ぎーごろがしゃーん、ぎーごろがしゃーん」と最後にやってきて…。

 ほのぼのとしてユーモラスな語りで、とうふどんが大根たちに文句を言うたびにあちこちから笑い声が上がりました。

 

 次のおはなしは、フィンランドの昔話で「りすとてぶくろと針」。ちょっと不思議な組み合わせの、仲良しのりすとてぶくろと針が、何かいいものがないかと森へ出かけます。針はいいものをみつけたと喜んで報告しますが、それは小さな泉だったり腐った木の切り株だったりして、りすとてぶくろは怒って気に入りません。ところが3日目に針が見つけたものはとても大物だったのです!先にみつけた泉や切り株も最後には大いに役にたちました。

 文句をいいながらも3人組の仲の良さが感じられるような優しい語りで、フィンランドの森の景色が見えるようでした。

 

 三つめのおはなしは、山梨の昔話で「口から米ん出る地蔵」。語り手のふるさとの山梨の言葉での語りでした。貧しいおじいやんとおばあやんがいましたが、ある日、おじいやんは雨でずぶ濡れになっている六地蔵のために「もしき」を売って得たお金で笠を買ったけれど五つしか買えませんでした。笠がない地蔵さんをかわいそうに思ったおじいやんはその地蔵さんを背負って家に連れて帰りました。するとその夜中、石の地蔵さんの口からぽろぽろと次から次へとお米がこぼれてきて・・・。

 優しい心のおじいやんとおばあやんの幸福な結末と味のある山梨言葉の語りとが相まって、聞いていて温かい気持ちになりました。

 

四つめのおはなしは日本の昔話で「化けくらべ」。ある時「ごんべいだぬき」と「へらこいぎつね」が化けくらべをすることになりました。ごんべいだぬきは仲間のたぬきたちを集めて大騒ぎの話し合いの末、花嫁行列に化けることに。みんなでうまく化けたと思っていたら、道にへらこいぎつねが化けた饅頭が落ちていて大騒ぎになってしまい、たぬきたちの化けの皮が剝がされてしまいました。へらこいぎつねに馬鹿にされて笑われたごんべいだぬきは悔しがり、仲間と仕返しを考えますが…。

とても楽しいおはなしで、たぬきたちの話し合いの様子の細かい描写や化けくらべの場面などが明朗快活な語りで面白さが増してたくさん笑いました。

 

 五つめのおはなしは、グリムの昔話で「三人の糸つむぎ女」。糸つむぎが大嫌いな怠け者の娘が、母親がついた嘘により糸つむぎの音が大好きなお妃に見込まれてお城に連れて行かれます。それぞれ三つの部屋にぎっしりの麻があり、それを紡ぐよう、また全部紡いだら一番上の王子と結婚させましょう、とお妃に言いつけられました。娘が困って途方にくれていると三人の奇妙な女たちがやってきて…。娘は三人の女たちに糸を全部紡いでもらい、三人との約束も守って結婚式に招待したおかげで王子からもう糸つむぎはしなくてもいいと言われ、娘にとっていいことずくめの結末になりました。

 このようなおはなしが生まれる背景には、糸つむぎは女性にとって必須だけど面倒な仕事だからやらないでいい状況になりたいという願望があったのかも…などと考えてしまいました。三人の女たちが結婚式で王子の質問に答える時の語りに迫力がありました。

 

 最後のおはなしは、東京の昔話で「カヤ寺と天狗」。東京黒船町に大きなカヤの木が名物のお寺がありました。ある日、どこからか山伏がやってきてカヤの実を賭けて碁を打とうと和尚さんにもち掛けました。勝負の結果山伏が勝ちましたがなぜか実を取らずに立ち去ってしまいました。ところが次の年からカヤの実がまったく実らなくなり…。実は山伏は遠州秋葉の天狗で、木の実を賭けて諸国を巡っているということでした。ある年に秋葉からお礼の手紙と火伏のお守りの小包が届きます。ずいぶん義理堅い天狗ですね。

 天狗は不思議な力を持つ伝説上の生き物ですがおはなしを聞いているうちに興味が湧きました。和尚さんとの会話や碁を打つシーンの語りがとてもリアルで情景がありありと目に浮かびました。

 

 今回は特別におはなしのあとに、「オカリナたまごの会」によるオカリナコンサートが催されました。

☆曲目☆

♪シューベルトの子守歌 ―シューベルト作曲―

♪おんまはみんな ―アメリカ民謡―

 

 2曲とも会の皆さんの息がぴったりで、美しいハーモニーに癒されました。「おんまはみんな」は、オカリナの演奏を聴いた後、会場の皆で一緒に歌いました。

 最後は、指導者の佐伯孝子先生による独奏で、これからの季節にぴったりな「おめでとうクリスマス」を素敵な音色で聴かせていただきました。

 オカリナたまごの会の皆さま、ありがとうございました。

 

☆プログラム☆

 

さといもこぞうととうふどん -日本の昔話-

「風の神と子ども」(語りの文化シリーズ12)

語り手たちの会編・刊

 

りすとてぶくろと針 -フィンランドの昔話-

「こどもに語る北欧の昔話」福井信子・湯沢朱実編訳 こぐま社

 

口から米ん出る地蔵 -山梨の昔話-

「むかしむかし 山梨・長野 -昔話再話集-

山梨・茅野昔ばなし再話研究会編・刊

 

化けくらべ -日本の昔話-

「読んであげたいおはなし -松谷みよ子の民話下-」(ちくま文庫)

松谷みよ子著 筑摩書房

        

三人の糸つむぎ女 -グリムの昔話-

「子どもに語るグリムの昔話3」佐々梨代子・野村泫訳 こぐま社

 

カヤ寺とてんぐ -東京の昔話-

「東京のむかし話」東京むかし話の会編 日本標準

 

 

♪~オカリナ演奏会~♪ オカリナたまごの会 

♪ シューベルトの子守歌 -シューベルト作曲-

♪ おんまはみんな -アメリカ民謡-

 

次回の「大人のためのおはなし会」は、2026年1月16日(金)予定です。

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