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中央図書館大人のためのおはなし会 第63回2025年12月

  • mslib2014
  • 2 時間前
  • 読了時間: 4分

 2025年12月19日(金)は、世田谷区立中央図書館大人のためのおはなし会でした。

 冬晴れの寒さの中、7名のお客様をお迎えして、今回のテーマ「音の世界」のいろいろな音のおはなしを楽しみました.

 最初のお話は「雪の音」。雪深い夜、子どもは寝そびれてささやきを聞く。太い柱に耳を当て、遠くの山の木々が雪の重みに耐えながら交わす声を聞く。不思議な体験は成長とともに忘れ去られるが、二十数年後、母となった彼女は、娘が同じように柱に耳を当てて山の杉の声を聞いている姿を目にする。そして大人になると聞けなくなった雪と記憶の音を思い起こす。雪の町に生きる作者の情感そのままに静かにしっとりと語って下さいました。

 次のお話は「こなべどん」 ひどく貧乏なおばあさんは鍋をきれいに洗って干すと、不思議な「こなべどん」が豆や肉汁、金貨を運んできてくれました。しかし、おばあさんが欲張って鍋をきれいに洗わずさらに金貨を求めると、こなべどんは怒って泥や砂利を詰めて戻ります。腹を立てたおばあさんが鍋を捨てると、こなべどんは戻ってきませんでした。 今でもどこかをコロコロ転がっているのかもしれません。「ここらでおいらのおでましさ!」とおばあさんの為に働く誇らしげな口調が耳に残るかわいい「こなべどん」、こんな鍋が足元に転がってきたらいいですね。

 三番目のお話は「月曜、火曜、水曜」 夫を亡くした貧乏なおかみさんは、金持ちのおかみさんの家で毎日くたくたになるほど働いていました。ある日、町はずれで小人たちが輪になって歌っているところに出会いました。おかみさんは小人たちの曜日の歌に加わり、喜ばせたお礼に金貨の入った壺をもらい、暮らしが豊かになります。話を聞いた金持ちのおかみさんも同じことをしますが、意地悪く言ったため小人たちの怒りを買い、もらった壺からは毒のある生き物がぞろぞろ出てきました。善良な者は幸せに、欲深い者は報いを受けるという昔話らしいお話です。

 四番目のお話は「ヒマラヤのふえ」。おはなしが始まる前に語り手からヒマラヤの地形について説明頂きました。昔、ヒマラヤに住むラモルとブリンジャマティの夫婦は貧しいながら懸命に暮らしていました。一晩泊めた旅のおじいさんからもらった笛を吹くと、岩だらけの地は緑と花に満ちます。その音色に魅せられた空のみっつぼしによりラモルは、「まるはなばち」に変えられてしまいます。妻のブリンジャマティはおじいさんからもらった魔法のひもで網を作り、池の中にいる三匹の銀の魚を捕らえ、蓮の花で耳を覆って笛の音をふさいで夫を元に戻すことができました。魔法の笛の音は今もヒマラヤに響いていると言います。みっつぼしも魅せられた清らかな笛の音とはどんな音色なのでしょう。

 五番目のお話は「悪魔がヴァイオリンを教わった話」 除隊した兵士は故郷へ帰る途中、満員の宿屋で勧められて、悪魔に乗っ取られた城で一夜を過ごすことになります。城で悪魔と出会った兵士は、ヴァイオリンを使って油断させます。ヴァイオリンを弾くには悪魔の爪の下のタコを削ればいいと言って万力で悪魔の指を押さえて締め上げます。兵士は更に締め上げ、とうとう悪魔は城と財産を全部戻し戻ってこないと約束しました。兵士は約束通り宿屋の末娘と結婚し幸せになりました。恐ろしいはずの悪魔がヴァイオリンに興味を持ち弾いてみたいと思うとは、案外優しい悪魔なのかもしれませんね。

 お話の最後は「世界で一番やかましい町」。 ガヤガヤの都は世界一やかましい町で、人々はやかましいのが自慢でした。この町でいちばんやかましいギャオギャオ王子は、誕生日に世界一大きな音を聞きたいと望み、全世界の人々が同時に叫ぶ計画を立てました。しかし、一人の悪気のない思いつきから、皆が声を出さず口だけ開けることになり、その日は沈黙が広がります。人々は気まずくなりますが、王子は生まれて初めて小鳥の声を聞き、風のそよぎ、小川の流れなどの自然の音を耳にし、静けさと落ち着きを気に入ります。こうして町は世界一静かで平和な町へと変わりました。私達の日々も様々な人工的な音があふれています。自然の音に耳を傾けるには・・・、「自分は何もしないで結果だけを得る」ということの意味をやんわりと教えられた気がしました


☆プログラム☆


テーマ:音の世界

            

雪の音 -創作-

「小さな雪の町の物語」杉みき子著 童心社

 

こなべどん -ドイツの昔話- 

「世界のむかしばなし」 瀬田貞二訳 のら書店

 

月曜、火曜、水曜日 -創作- 

「おはなしのろうそく29」

ジョー・ヘイズ作 小林いづみ訳 東京子ども図書館編

 

ヒマラヤのふえ -インドの昔話-

同名絵本 A.ラマチャンドラン作 木島始訳 木城えほんの郷

 

悪魔がヴァイオリンを教わった話 -ドイツの昔話-

「メドヴィの居酒屋-ドイツ-」

(世界むかし話7)ほるぷ出版

 

世界でいちばんやかましい音 -創作-

同名絵本 ベンジャミン・エルキン作

松岡享子訳 太田大八絵 こぐま社

次回は、2026年2月20日(金)の予定です。

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