中央図書館大人のためのおはなし会 第4回
2015年10月16日(金)は、「世田谷区立中央図書館大人のためのおはなし会ー第4回ー」でした。
「秋には 『月』と『収穫』のおはなしを」の特集でした。
朝から 肌寒い雨の日でしたが 13人ものお客様がいらして下さって、和やかなおはなし会になりました。
導入の 「たまごをポン」 の手遊びは卵をひとつひとつ割っていき、卵の料理を作ります。
何んだろ~な?の問いかけにいろいろな答えがでて、お客様も笑顔になり 語り手たちの緊張もほぐれました。
最初の「ばあさまと踊る娘たち」は日本の昔話。毎晩、踊りにやってくる娘たちに困り果てたばあさまの気持に、
くすくす笑い声が・・・。その娘たちの正体とは? 繰り返す娘たちの歌がリズミカルで、お客様も拍子をとりながら聞いていました。
「あこや姫」は 姫と松の精の悲しく美しい言い伝えの「おはなし」です。夫を思うあこや姫の深い愛に心がゆさぶられて、皆さま、静かに真剣にきいてくださいました。
「なら梨とり」 は母思いの太郎 二郎 三郎がなら梨を取りに行く「おはなし」ですが、 繰り返しが面白く また 沼の主にげろり!と呑まれてしまうところも、ぞくっとして語りに引き込まれます。 最後は、みんな助かって、ほっと胸をなでおろし、お母さんの病気も治ってめでたしめでたし。何度聞いても飽きない「おはなし」です。
「月をつろうとしたロー」はソロモン諸島の昔話。 月を独り占めにしようとした島の人たちは、釣りの名人ローに頼んで、月を釣ろうとします。しかし 月が手にはいらず 悔しがった人々が月にしたこととは・・・。真面目に月を釣ろうとする島の人々が可笑しくて、大笑いしてしまいます。そして、なぜ月に黒い模様があるのか? この「おはなし」を聞いて、分かりました。
シンデレラの日本版ともいわれる継子いじめの「糠福米福」。 継母のいろいろな意地悪や難題にも 亡き母の不思議な力を借りたり、雀に助けてもらったり・・・、と、さらりと乗り越える糠福。 そして、歌比べでは、糠福の品のある和歌の美しさに 「ほぅ」と聴き手も感心しました。また米福と糠福の対比が面白くて 思わずくすくすと笑ってしまいます。
「ジーリコッコラ」は、イタリアの昔話。 金の糸 銀の糸 絹の糸。3人の娘が糸紡ぎをしていると、通りがかった月が3番目の娘「ジーりコッコ」ラが、とびきり美しいとほめていきます。 2人の姉たちは悔しがって穀物蔵に妹を閉じ込めてしまいます。 かわいそうに思った月は、ジーりコッコラを家へ連れて帰るのですが・・・。
(ここからは、白雪姫の展開と似ています。) 月の家で、留守番をしていた「ジーりコッコラ」は、姉さんたちのわなにはまって、石の彫像になってしまいます。 やがて、王子にお城に連れて行かれて、呪いは解けて、石の彫像は、美しいジーりコッコラにもどり、王子と結婚します。 いろんなの要素が練りこまれ また繰り返す展開も楽しい「おはなし」でした。
最後まで 聞き手の方と語り手とが一体となった、素晴らしいおはなし会でした。
☆プログラム☆
テーマ : 秋には、「収穫」と「月」のおはなしを
ばあさまと踊る娘たち -日本の昔話-
「読んであげたいおはなし 松谷みよ子の民話 下」 松谷みよ子著 筑摩書房
あこや姫 -日本の昔話-
「馬にされた大吉 子どもに贈る昔ばなし15」小澤俊夫監修 小澤昔ばなし研究所
なら梨とり -日本の昔話-
「おはなしのろうそく 6」 東京子ども図書館編 東京子ども図書館
月をつろうとしたロー -太平洋諸島の昔話-
「世界むかし話17 -太平洋諸島-」光吉夏弥訳 ほるぷ出版
- 休憩 -
糠福米福 -日本の昔話-
「かちかち山(語りつぎたい日本の昔話4)」
小澤昔ばなし大学再話研究会再話 小澤俊夫監修 杉浦範茂絵 小峰書店
ジーリコッコラ -イタリアの昔話-
「みどりの小鳥」 イタロ・カルヴィーノ作 河島英昭訳 岩波書店
次回は、12月18日(第3金曜日)です。