中央図書館「大人のためのおはなし会 第26回」 2019年6月
2019年6月21日(金)は、世田谷区立中央図書館で、「大人のためのおはなし会 第26回」が開催されました。11名のお客様が曇り空で蒸し暑い中、足を運んでくださいました。
前月の5月に、玉川ボランティアビューローで「グリムの昔話」特集のおはなし会をいたしましたので、今回は、その第2弾になります。前回、6つの「おはなし」を語り、今回も6つ語りましたので、両方にいらして頂いた方は、全部で12の「グリムの昔話」を聞かれたことになります。
今日のマイヤース景子先生のお話しは、「グリムの有名なおはなしである『白雪姫』で、白雪姫は何回殺されそうになったでしょうか？」の質問から始まりました。皆様よくご存じの方が多く、すぐに「3回！」というお答えが返って来ました。その次の、「最初は何で殺されそうになりましたか？」の質問には、「くし！」「りんご！」と、いくつかお答えがありましたが、よくご存じの方から「ひも！」という見事なお答えを頂きました。これは、洋服の前をとめる為の絹のひもです。次は「くし」、最後が「りんご」です。それでは、どうやって白雪姫が生き返ったかという質問にも、「王子さまがお城に連れて帰ろうとして、棺をかついでいた家来が木の根に躓き、棺が傾いた弾みでりんごが、ぽろりと口からこぼれて助かった」と、大正解を頂きました。私は「王子様のキス」で目覚めたのかと思っていたのですが、それは間違いでした。まだまだ勉強不足だと実感しました。お客様方の方がよくご存じで、脱帽いたしました！
このように、昔話には3回の繰り返しが良く出てきます。今回の「おはなし」にも、3回の繰り返しが出てくる「おはなし」がありましたので、さらにお楽しみ頂けたのではないでしょうか？
「おはなし」の前に、「たまごをポーン」の手遊びをして身体をほぐして頂いて、「おはなし会」が始まりました。
「嫁選び」は、3人の姉妹からお嫁さんを選ぶおはなしです。3回の繰り返しが出てきました。チーズの剥き方でお嫁さんを選ぶのですが、語り手が、本物のチーズを用意しました。皆様、「おはなし」の後にチーズを手に取って興味深く見てくださいました。
「死神の使い」では、ひょんなことから死神を助けた若者は、死神から、歳を取って死神が現れる前に使いを送る、と告げられます。一体どんな使いが現れたでしょうか？ いろいろと、身につまされるおはなしでした。
「悪魔とそのおばあさん」は、3人の脱走兵が悪魔と取引をし、うまく悪魔の魔の手を逃れたおはなしです。これも、3人の脱走兵に、3つの謎解きが出て来ます。
「おおかみときつね」は、歳取ったおおかみに、キツネが食べ物の手配をしてあげるおはなしです。これも、3日間のおはなしで、3回くりかえします。
「老犬ズルタン」は、歳取って役に立たなくなり、飼い主から見放されそうになった老犬が、おおかみの機転により、飼い主から大事に扱われるようになったのですが、その代わりに羊を1匹盗んでいいかとおおかみに言われ、老犬は・・・！ 真面目な老犬と、おちゃめでおっちょこちょいのおおかみのほのぼのとしたおはなしでした。
「ツグミひげの王さま」では、とても美しいお姫様が、並みいる求婚相手をからかったことにより王さまの怒りを受け、貧しい旅芸人と結婚させられてしまいます。お姫様の運命は？ お城から追い出され、旅芸人の家に行くまで、3つの問いかけが出てきます。貧しい中でお姫様がさせられる仕事も3回変わります。最初は、ただの高慢なお姫様が、厳しい仕事を経験する毎に成長していく聞き応えのある「おはなし」でした。
前回に引き続き、全部で12のおはなしが語られました。200年以上前の「おはなし」を、今に語り継がれている「グリムの昔話」の魅力が、伝わりましたでしょうか？私たちはこれからも、この宝物のような「おはなし」を後世に引き継いでいくために、日々精進していこうと決意を新たにしています。
また、是非「おはなし」を聞きにいらしてくださいね。お待ちしております。
テーマ：グリムの昔話
☆プログラム☆
嫁選び
「グリム童話全集」橋本孝訳 天沼春樹訳 シャルロット・デマトーン絵 西村書店
死神の使い
「完訳グリム童話集3」（講談社文庫）池田香代子訳 講談社
悪魔とそのおばあさん
「完訳グリム童話Ⅱ」－子どもと家庭のメルヒェン集－ 小澤俊夫訳 ぎょうせい
－休憩－
おおかみときつね
「子どもに語るグリムの昔話5」 佐々梨代子・野村泫（ひろし）訳 こぐま社
老犬ズルタン
「語るためのグリム童話3」 小澤俊夫監訳 小澤昔ばなし研究所再話
オットー・ウベローデ絵 小峰書店
ツグミひげの王さま －グリムの昔話－
「おはなしのろうそく9」 東京子ども図書館訳・出版
次回は２０１９年８月１６日(金)の予定です。