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中央図書館 大人のためのおはなし会 第29回 2019年 12月

 2019年12月20日(金)は、世田谷区立中央図書館 大人のためのおはなし会でした。

 スッキリと晴れたお天気の中、14人の方々がいらしてくださいました。中には、茅ケ崎市や伊勢原市等、遠くからいらしてくださった方もいて、有り難く身の引き締まる思いがいたしました。

 マイヤース景子先生の挨拶のお話しは、もうすぐ訪れるクリスマスのお話しです。クリスマスとは、宗教的に厳密に言うと、いつからいつまでなのでしょうか? 24日の日没から、25日の日没までがクリスマスなのだそうです。そしてクリスマスイヴとは、クリスマスの前日ではなく、クリスマスの晩と言う意味なのだそうです。マイヤース先生は、数日前にヨルダン旅行から帰ってきたばかりで、まさにイエス・キリストが洗礼を受けたとされるヨルダン川岸の聖地ベタニア(イスラエル)を見学。対岸のヨルダン側から見て、川幅は、5mもなかったため、ブラジルからの教徒たちの洗礼の様子もしっかり見せてもらったそうです。

 クリスマスの時期に、イエス・キリストの足跡を辿ってきたマイヤース先生のおはなし「クリスマス・イブ」からおはなしが始まりました。クリスマスの晩、がまくんはごちそうをどっさり作ってかえるくんを待ちます。暗くなっても現れないかえるくんを心配するがまくん。心配のあまり、かえるくんを助けに行こうとがまくんが家を飛び出すと...?素敵な仲間とクリスマスを過ごしたくなるほっこりとしたおはなしでした。

 「クリスマスツリーのねがい」は、森の中の小さなモミの木が、自分のお兄さんのような立派なクリスマスツリーになりたいと願っていると...!森の中で、人間の力を借りなくても、モミの木はそのままで十分美しくみんなの役に立っている、そんな姿が目に浮かび、森の澄んだ空気が感じられるおはなしでした。

 「だれが鐘を鳴らしたか」は、クリスマスイブ、イエス様に最も値打ちのある贈り物が捧げられた時に屋上の鐘が鳴るという言い伝えのある教会。毎年素晴らしい贈り物が捧げられるも、鐘はちっとも鳴りません。王様が冠を捧げても鳴りませんでした。そんな中、突然鐘が鳴りだし、みんなが祭壇に注目すると、そこに置かれていたものは...?イエス様にとって最も値打ちのある贈り物は何か、兄弟の純粋な無私の愛に心洗われる、聞きごたえのあるおはなしでした。

 休憩をはさんでおはなしのテーマが「クリスマス」から「年の瀬・お正月」に変わりました。

 「さきざきさん」は、自分たちの老後の為(先々のため)に少しずつためてきたお金を、ある日いきなりやってきた男に「私がさきざきだ」と言われてお金をだましとられたお婆さん。それを知ったおじいさんが「もう夜逃げするしかない」と言って2人は家をこっそり出ていくが...!「昔版おれおれ詐欺」に騙されてしまった痛いおはなしですが、まじめなおじいさんと少し抜けてるけどとっても可愛いおばあさんとの掛け合いがユーモラスで「終わり良ければすべて良し!」のスッキリ楽しいおはなしでした。

 「鼻かぎ孫じえん」は、大晦日に「家を焼け」と奥さんに言ってから親方と一緒に船で出かけた孫じえん。船が沖に出てだいぶ経ってから「家が焼けたにおいがする!」と親方に言い、親方が「そんなのわかるわけがない」と言うので「賭けましょう」ということになり、まんまと賭けに勝って親方の家に住めるようになった孫じえん。ところが、その評判を聞いた殿さまから「なくなった名刀を鼻で嗅ぎ出せ」とお達しがあり…!孫じえんの知恵で運の良さもひきつけてしまう、あっぱれなおはなしでした!

 「夢見小僧」は、庄屋の旦那さんが使用人の初夢を聞いて、いい夢なら買い取ると言ったが、灰坊だけが絶対に夢を話さなかった。怒った旦那さんに川に流されたが、そこで出会ったカッパから「生き針」と「死に針」をもらう。それを持って歩いていくと、長者のお屋敷の1人娘がたった今亡くなったと聞き、カッパの「生き針」で助けると...!飄々とした灰坊の、わが道を行く清々しさに脱帽しました。いい夢は人に話さないようにしましょう!

 「海の水はなぜからい」は、正月を迎えるのにお米もないと兄を頼った弟に、何も渡さなかった兄。帰りがけに、ひょんなことから小人に石臼をもらった弟。欲しいものを願って回すとそれが出てきて、反対に同じ数だけ回すとそれが止まるという仕組み。家に帰って弟が石臼から、正月用品やら家やら倉やら馬小屋まで出すと、近所で評判になり、兄が聞きつけて見に行ってみると...!純粋な弟の反面、兄の飽くなき欲望が身につまされるおはなしでした。

 今日で、今年の「大人のためのおはなし会」は終わりです。今年も、皆様におはなしを届けることが出来る幸せをかみしめました。来年はさらに精進して、もっともっとたくさんの良いおはなしをお届けしたいと思っております。

 来年も、どうぞよろしくお願い致します!

☆プログラム☆

   テーマ:クリスマス・年の瀬・お正月

クリスマス・イブ -創作- 

   「ふたりはいつも」 アーノルド・ローベル作 三木卓訳 文化出版局

クリスマスツリーのねがい -創作-  

   「クリスマス物語集」 ベイカー作 中村妙子編訳 偕成社

だれが鐘をならしたか -創作- 

   「クリスマス物語集」 オールデン作 中村妙子編訳 偕成社

               -休憩-

さきざきさん -日本の昔話- 

   「かもとりごんべい」(少年文庫)稲田和子編 岩波書店

鼻かぎ孫じえん -日本の昔話- 

   「日本のむかし話3」(瓜子姫とあまのじゃく) 松谷みよ子著 講談社

夢見小僧 -日本の昔話- 

   「子どもに語る日本の昔話1」稲田和子・筒井悦子著 こぐま社

海の水はなぜからい -日本の昔話- 

   「子どもに聞かせる日本の民話」大川悦生著 関口コオきり絵 実業之日本社

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