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中央図書館 大人のためのおはなし会 第32回 2020年 10月

 2020年10月16日(金)は、「世田谷区立中央図書館 大人のためのおはなし会 第32回」でした。

 少し雲がかかっていましたが、暑くもなく寒くもない穏やかなお天気の中、26人の方々が来てくださいました。「読書の秋」で、図書館に足を運ばれた方が多かったのでしょうか。予想以上に多くの方が来てくださって、大変嬉しく「おはなし」を語る私たちの身が、引き締まりました。

 始まりのマイヤース景子先生のお話しは、「おまじない」に関するお話しでした。コロナ禍で、不安な日々が続いておりますが、その不安を少し和らげてくれる絵本「つるかめ つるかめ」を紹介しました。著者は、中脇初枝さん。「きみはいい子」を書いた児童文学者です。雷がゴロゴロしてきたら「くわばら くわばら」地震が来て揺れてきたら「まじゃらく まじゃらく」など、自分の力ではどうしようもない時、昔の人たちはおまじないを唱えてきました。「つるかめ つるかめ」は、いやなことがあった時に唱えるといいことがあるそうです!もう一つ、「病気にならないおまじない」を紹介しました。スサノヲノミコトが旅をされた時、一夜の宿を粟で作った食事で厚くもてなした蘇民将来に大変喜ばれ、「疫病流行の際、「蘇民将来之子孫也」と記した護符を持つ者は疫病に罹らないようにしよう」と約束されたということです。これが京都の祇園祭の始まりで、そのお祭りでは「蘇民将来之子孫也」の護符と「粟餅」のちまきを配るそうです。不安な時、勇気づけてくれるおまじないの言葉。

「つるかめ つるかめ」の著者、中脇初枝さんは「思いがけない何かが起こった時、ドキドキするのもこわくなるのも当たり前。臆病で怖がりでも大丈夫」とあとがきに記しています。童心に帰って「おまじない」の言葉を唱えてみれば、何かに守られているような安心感に包まれます。

 会場が安心感に包まれたところで、最初の「おはなし」が始まりました。

 「砂漠のナツメヤシ」は、ユダヤの昔話です。砂漠を旅する青年が出会った1本のナツメヤシ。長い年月を経て再びそこを旅するとそこには...。美しい砂漠の景色と、詩的な言葉に酔いしれ、ナツメヤシの甘さにウットリするおはなしでした。

 「弥三郎ばさ」は、日本の昔話。福島弁で語りました。あまりに可愛いからと、孫を食べてしまい、やまんばになってしまったばさ。村中の人々から恐れられていたばさは、ぼたもちを持ってき続けてくれた少年に心を許すようになる。少年が大きくなると、嫁を世話してくれて...。怖くて不思議で人情味あふれるおはなしでした。

 「白いマス」は、アイルランドの昔話。結婚するはずだった王子様が殺されてしまい、お姫様は悲しみのあまり行方知れずに...。するとある時から川に白いマスが現れるようになる。人々はこの不思議なマスを妖精と思っていましたが、ある時一人の青年が食べようとしてお鍋に入れると...!青年のダメぶりと、お姫様の凛とした美しい姿が目に浮かぶ、美しくも力強いおはなしでした。

 「魔法のオレンジの木」は、ハイチの昔話。ハイチでおはなしを始める時、語り手が「クリック!」と言うと聞き手が「クラック!」と掛け声をするところから始まりました!意地悪な継母のオレンジを3つ食べてしまった娘は、継母が恐ろしくて、実のお母さんが眠るお墓に行って助けを求める。そこで一夜を明かした女の子に与えられたオレンジの種。それを植えると、女の子の歌声に合わせて美味しいオレンジのなる木に成長する。それを知って、美味しいオレンジを独り占めにしようとした継母に、女の子は...!賢く健気な女の子を応援したくなるおはなしでした。

 「カッパと瓜」は、日本の昔話。おじいさんの畑の瓜をパクパク食べてしまったカッパ。おじいさんに見つかって罰として腕を1本取られてしまう。次の日の早朝に、腕を返してほしいと言ってきたカッパの可愛らしい様子と、おじいさんの優しさがほっこりとした気持ちにさせてくれるおはなしでした。カッパの教えてくれた薬の作り方、知りたいです!

 「クルミわりのケイト」は、イギリスの昔話。王様の一人娘アンを置いてお后様は亡くなってしまう。新しいお后様は、ケイトという娘がいたが、アンの方が器量良しなので気に入らない。魔術の力を借りてアンの頭を羊の頭にしてしまう。するとケイトは、アンの頭に布をかけて幸せを探す旅に出る。すると、病気の王子を看ることになり...。どんな時も勇敢に立ち向かい、優しい気持ちの持ち主のケイトに、とっても感心してしまうお話しでした!

 今回のテーマは食欲の秋、実りの秋ということで「食べ物のおはなし」でした。皆さんの好きな食べ物は、ありましたでしょうか?食べる時、ちょっとおはなしのことを思い出していただけたら幸いです。

 お帰りの時、折り紙で作った「かぼちゃ」を持って帰っていただきました。今日は、おはなし会に来ていただきましてありがとうございました!これからも、益々いいおはなしを伝えることができたら嬉しく思っております。次回は12月18日(金)です。どうぞまたいらしてくださいね! 

☆プログラム☆

テーマ:食べ物のおはなし

砂漠のナツメヤシ -ユダヤの昔話-

  「お静かに、父が昼寝しております-ユダヤの民話-」(岩波少年文庫)母袋夏生編訳 岩波書店

弥三郎ばさ -日本の昔話-

  「日本の昔ばなし 3」(講談社文庫) 松谷みよ子著 講談社

白いマス -アイルランドの昔話-

  「イギリスとアイルランドの昔話」 石井桃子編訳 福音館書店

          -休憩-

魔法のオレンジの木 -ハイチの昔話-

  「魔法のオレンジの木」 ダイアン・ウォルクスタイン採話 清水真砂子訳 岩波書店

カッパと瓜 -日本の昔話-

  「おはなしのろうそく 31」 平川清介再話  東京子ども図書館

クルミわりのケイト -イギリスの昔話-

  「おはなしのろうそく10」 東京子ども図書館訳・出版 

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