中央図書館大人のためのおはなし会第49回 2023年8月
2023年8月18日(金)は、「世田谷区立中央図書館大人のためのおはなし会第49回」でした。
お盆も過ぎたというのは、今年の異常気象は一向に収まらない気配で、その日も朝から太陽は照り付け蒸し暑いこと限りない暑い熱い日になりました。そんな中、11名のお客さまがお見えになり、会員も加えると定員20名の「おはなしのへや」は満員になりました。
今回のテーマは、平和です。それぞれの語り手たちが選んだ「おはなし」は、どんな平和を届けられたでしょうか?
「生きる」は、谷川俊太郎さんが1971年に発表された詩です。半世紀に渡って愛され続けています。
「生きているということ それはミニスカート プラネタリウム ピカソ・・・すべての美しいものに出会うということ かくされた悪を注意深くこばむこと」、皆、耳を傾けて聞きました。
「やまたのおろち」は、スサノオノミコトが悪行の数々で高天原を追放され、出雲に行き着き、7人の姫を呑み込み、最後の姫のクシナダ姫を狙ってきたヤマタノオロチを成敗するという神話です。ヤマタノオロチを退治して、クシナダ姫と結婚し、出雲の地を治めながら幸せに暮らしたそうな。
「ベンチ1940」は、第二次世界大戦中のドイツでのこと、ユダヤ人の少年フリードリヒ とドイツ人の少女ヘルガの淡い恋は切なく破れてしまうのでした。ナチスの擡頭とユダヤ人への弾圧が公園のベンチの張り紙にも表わされていたのでした。
「ちいちゃんのかげおくり」は、家族で遊んで楽しかった「かげおくり」が、戦争で家族を亡くし一人になってしまったちいちゃんの最後の遊びになってしなったという悲劇を伝えています。「一つ、二つ ~ 十(とう)」と数えるちいちゃんと家族の声が耳に残ります。この声が聞こえる世の中が平和な時なのだと思われます。
「願いの指輪」は、若いお百姓が親切にした老婆からお礼を受け取ると、それは鷲の卵から出て来た、願いは一度だけ叶う「指輪」でした。けれど、その指輪は、腹黒い宝石商に騙されすり替えられ、宝石商は願いを叶えて金貨の下敷きで圧死。ただの指輪を持ち続けたお百姓は、願いは最後にと、日々暮らしを誠実に生き、願いをかけることなく安らかに逝きました。
もう一つのおはなしが予定されていましたが、語り手がコロナ感染してしまい、「おはなし」を聞くことが出来ず残念でした。まだまだコロナ感染が収まっていないようで、用心しなければなりません。
皆さまもこの暑い夏をお大事にお過ごしくださいませ。
☆プログラム☆
生きる -創作-
同名絵本 谷川俊太郎詩 岡本よしろう絵 福音館書店
やまたのおろち -日本の神話-
「そばの花かんざし -村田厚子再話集Ⅱ-」
村田厚子著・発行
ベンチ -創作-
「あのころはフリードリヒがいた 新版」
(岩波少年文庫)ハンス・ペーター・リヒター作
上田真而子訳 岩波書店
ちいちゃんのかげおくり -創作-
同名絵本 あまんきみこ作 上野紀子絵
あかね書房
願いの指輪 -創作 -
「話はめぐる」 マーサー・ハロウェイ作
ナショナル・ストリーテリング保存育成協会編
佐藤涼子訳 リブリオ出版
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