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中央図書館 大人のためのおはなし会 第39回 2021年12月

 2021年12月17日(金)は、「世田谷区立中央図書館 大人のためのおはなし会 第39回」でした。

小雨の降る寒い朝でしたが、7人の方がいらしてくださいました。

 マイヤース景子先生のご挨拶のお話は、まず中央図書館の施設が来年から大きく様変わりする為、この研修室「おおぐま」を使うことができなくなった事、来年1月からの奇数月は、玉川ボランティアビューローで今までと同じスタイルの「大人のためのおはなし会」をする事、2月からの偶数月は中央図書館1階の「おはなしの部屋」にて「2人語り」等のこぢんまりしたおはなし会を催すことになった事等のお知らせから始まりました。そして、今回の「おはなし会」のテーマの1つ、クリスマスについてのお話がありました。クリスマスツリーは、なぜもみの木なのでしょう?昔は常緑樹を薪にしてくべると縁起も良く、暖かさも特別なものになると思われていました。また、もみの木は病気を防ぐのに良いとされており、永遠の命を象徴するものであった為、もみの木に飾りつけをするようになったそうです。しかしイギリスにはもみの木がなく、代わりにヒイラギやヤドリギでリースを作ったそうです。ヒイラギは魔除けの、ヤドリギには再生のシンボルでもあったようです。日本でのクリスマスは、アメリカからの影響が大きいようです。毎年習慣でツリーやリースを飾りつけしていますが、そのルーツを知ると、益々親しみがわいてきますね。会場の雰囲気がほっこりしたところでおはなし会が始まりました。

 おはなしを語る前に、今由来を知ったばかりの「クリスマスツリー」の手遊びをしました。クリスマスツリーを飾っていく手遊びです。最初はロウソク、2番目はクリスマスベル、3番目は...。皆で一緒に楽しく、美しい飾りつけができました!

 最初の「おはなし」は、「年こしのたき火」です。大晦日にお正月の支度をするために、お婆さんの作った「おだま」を売りにお爺さんが町に出かけましたが1つも売れず、同じように売れなかった炭売りの人の炭俵と交換します。いつもよりたくさん炭を入れて火を焚いていると貧乏小人が出てきて...。貧乏小人のユーモラスな姿が目に浮かぶ、ほっこり温かいおはなしでした。

 「クリスマスのまえのばん」は、1823年に発表されたクレメント・ムアの詩で、自身の9人の子供たちのために書いたと言われています。サンタクロースが8頭のトナカイにそりを引かせて空を翔け、煙突から入ってくる等、現在の「サンタクロース」のイメージの元となっているそうです。詩は、サンタクロースの言葉で締めくくられています。「メリークリスマス!みんな、おやすみ!」子供たちへの愛に溢れた詩でした。

 「うみのみずはなぜからい」は、貧しい弟がお正月を迎えるためのお米を分けてもらいに兄のところへ行きますが、兄に冷たく断られます。とぼとぼ帰る道で弟はお爺さんに出会いお饅頭をもらいます。お爺さんに言われた通り小人のいる所に行って、そのお饅頭と石臼を交換します。その石臼は、右に回しながら欲しいものを言うとそれが出てくるという宝物でした。欲しいものを出して急に大金持ちになった弟を探り、石臼を知った兄はその石臼を盗み出し...。「家出ろ!」「倉出ろ!」「馬出ろ!」と気持ちいいくらい欲しいものを出す無邪気な弟と、どこまでも独りよがりの意地悪な兄との対比が面白いおはなしでした。

 「郵便馬車で来た12人」は、アンデルセンのおはなし。12時を告げる鐘がなって新しい年が始まったばかりの時、12人が乗っている馬車が町の門に止まりました。町の番人が旅券を見せるように言うと1人ずつ降りてきて自己紹介を始めます。それは、1月から始まって12月までの精でした。4月の精は、いきなりエイプリルフールをかましてきたり、5月の精は美しい声で歌う歌姫だったり、9月の精は絵描きで、11月の精はひどい鼻かぜをひいていて、ハンカチでは足りずにシーツを持っていたりとみんな個性的な面々です。番人は、1人1月ずつ町にいれ、1月経ったら何があったか話してもらう約束をします。ひと月ひと月がいとおしく感じる美しくて楽しいおはなしでした。

 「ものいう亀」は、ある年の暮れに貧しいお爺さんが餅つき棒を「竜神様に献上します」と言って川に投げ入れます。そして「餅つき棒は伐ったれど、年は何でとろうや」とつぶやくように歌うと「米や銭でとりやーれ」と聞こえてくる。どこから声がするか探してみると、なんと亀が歌っていました。町に出て亀の歌を披露するとみんな喜んでお米や銭をたくさんくれたので、お爺さんは大喜びで亀と一緒に家に帰ると隣の欲深婆さんがやってきて無理やり亀を借りていってしまいます。ところが欲深爺さんが亀を連れていくと亀は全く歌わずに...。昔話の王道を行くようなおはなしですが、お爺さんと亀の歌の掛け合いが美しく響いて心温まるおはなしでした。

 「ジョン王様のクリスマス」は、「くまのプーさん」でおなじみのA.A.ミルンによる詩です。ジョン王様は良い人ではなく、クリスマスカードもクリスマスプレゼントも一度ももらったことがないのです。ジョン王様は実は6歳くらいの男の子で、一生懸命サンタクロースに手紙を書きます。「チョコレートがひと箱あったら素敵だなあ、ナッツも大好き、よく切れるポケットナイフも欲しいけど、サンタさんが僕を愛してくれるなら、赤いゴムのボールが欲しい!」と訴えます。さあ、果たしてプレゼントは届くのでしょうか?結果を聞くのがドキドキしてしまうくらい、切ないけどユーモアに溢れた詩でした。

 「もずにのった孝ちゃん」は、佐々木たづさんの作品です。栄養失調のために全盲になってしまった佐々木たづさんにとても共感した語り手が語りました。クリスマスの晩に、以前孝ちゃんが助けてあげたモズが来て、孝ちゃんを背中に乗せて空を飛び、イエス様のお生まれになったところに連れて行ってくれました。地面に降り立ってからは、歩くのが苦手なモズを自分の頭の上に乗せてあげたりと、孝ちゃんの優しい思いやりのあるところが随所に出てきて、作者の優しい心持が伝わってくるような温かいおはなしでした。最後の孝ちゃんの言葉「どうして大人は、こんなにいいおはなしを平気で聞いていられるの?」に、ドキッとさせられました。

 全てのおはなしが語られて、おはなし会は無事に終わりました。寒い中いらしてくださった方々にささやかですが、折り紙で作ったポインセチアを持って帰っていただきました。

「とてもあたたかい雰囲気で、いい時間を過ごすことができました。」と言ってくださった方もいました。嬉しいお言葉をありがとうございました!

 今年もコロナの影響で何度かおはなし会が中止になりしたが、こうして聞きに来てくださる方がいてとても有難く思っております。これからも、いいおはなしを届けられるようにたまごの会一同精進してまいりたいと思っておりますので、来年もどうぞよろしくお願い致します。

どうぞ良いクリスマス、お正月をお迎えください。


テーマ: クリスマス・年の暮れ

       

☆プログラム☆

年こしのたき火 -日本の昔話-

「日本のむかしばなし」瀬田貞二文 瀬川康男 梶山俊夫絵 のら書店

クリスマスのまえのばん -創作-

同名絵本 クレメント・ムア詩 ターシャ・テューダー絵 中村妙子訳 偕成社

うみのみずはなぜからい -日本の昔話-

「おそばのくきはなぜあかい」(岩波の子どもの本) 石井桃子 初山滋え 岩波書店  

郵便馬車で来た12人 -創作-

 「アンデルセン童話全集1」アンデルセン著 天沼春樹訳 西村書店                                           

        

         -休憩 -

ものいう亀 -日本の昔話-

「瓜子姫とあまのじゃく(日本のむかし話 3 )」(青い鳥文庫) 松谷みよ子 作 ささめやゆき絵 講談社

ジョン王さまのクリスマス -創作-

「クマのプーさんとぼく」A,A.ミルン作 小田島雄志・田島若子訳 河出書房新社

        

もずに乗ったこうちゃん -創作-

「白い帽子の丘」 佐々木たづ著 ポプラ社

次回は、2022年2月18日(金)の予定です。

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