中央図書館「大人のためのおはなし会 第46回」2023年2月
2023年2月17日(金)は、世田谷区立中央図書館「大人のためのおはなし会」でした。
北の地方では大雪とのニュースが流れ、こちらも風はまだまだ冷たいのですが、お日さまのまぶしい明るい日になりました。
そんな中、遠くから足を運んでいただいた方や、大学でストーリテリングを学んでいる若い方もいらして、用意した椅子が足りないくらいの盛況な会になりました。
今回のテーマは、「魔界・異界」でした。「どんなおはなしだと思います?」の問いかけに、「怖〜いおはなし?」と身を縮めて答えてくださった方がいました。どうでしょう? 楽しい「おはなし」もあるかもしれませんよ。
「ねずみじょうど」は、そば餅を鼠穴に落としてしまったおじいさんと「めくされじいさん」が訪ねた不思議な鼠の世界。鼠たちの調子の良い歌声の心地良いことでした。
「ネコの王さま」は、墓掘り人夫が見た猫の行列は、金の王冠を載せた棺桶を担いて近づいて来た。先頭のネコが、「ティムが死んだと、トムに伝えてくれ」と彼に告げた。「トムって誰?」。彼の家では、おかみさんと飼い猫の「トム」が、彼の帰りを待っていた。英語では、言葉遊びの「おはなし」になっているのではないでしょうか?
「おにの刀かじ」は、刀鍛冶の娘の嫁取りの条件は、「一晩に千丁の刀を打つ」というもの。その条件を満たした男の嫁になった娘が仕事場をのぞくと・・・。正体を見破られ、爪で銘を書いた一太刀を残して消えてしまった。
「歌うたう骨」は、ある王国でイノシシを退治した者に、褒美と姫との結婚のお触れに兄弟が参戦する。弟が退治するが、兄が弟を亡き者にして姫と結婚する。弟の骨を羊飼いが角笛のふき口にすると、つの笛は歌いだし真実を告げた。角笛の歌の悲しい旋律を素敵な歌声で聞かせてもらいました。
「地獄からもどった男」は、閻魔様から、地獄行きを言い渡された手品師とかじやと歯医者が、それぞれの特技を生かし、釜湯でや針の山や赤鬼の腹の中から逃れ、呆れた閻魔から娑婆に戻される。
軽妙な関西弁で、怖いはなしを笑いに変えて楽しいことでした。
「鬼の目玉」は、山の奥深く迷い込んだ娘が若者に会い、十三の蔵のある屋敷に行く。十二の蔵では月毎の景色が見られたが、開けるなと言われていた十三番目の蔵の中には、二つの目玉があり、鬼の目玉だった。若者は目玉のない鬼から目玉のありかを言えとせっかんを受けていた。娘が鬼に目玉を差し出すと、辺りは、見知らぬ谷間で、辺りにはしゃれこうべがころがっていた。淡々と静かな語りが、娘と若者と鬼の心根まで感じされてくれました。
テーマ:魔界・異界
☆プログラム☆
ねずみじょうど -日本の昔話-
「おはなしのろうそく3」
瀬田貞二再話 東京子ども図書館編・出版
ネコの王さま -イギリスの昔話-
「新編世界むかし話集1 イギリス編」
(現代教養文庫)
山室静編著 社会思想社
おにの刀かじ -日本の昔話-
「舌切りすずめ(日本のむかし話2)」
(青い鳥文庫)
松谷みよ子作 ささめやゆき絵 講談社
歌うたう骨 -グリムの昔話-
「グリム童話集1」偕成社文庫)
矢崎源九郎訳 偕成社
地獄からもどった男 -日本の昔話-
「子どもに語る日本の昔話1」
稲田和子・筒井悦子著 こぐま社
鬼の目玉 -日本の昔話-
「読んであげたいおはなし 松谷みよ子の民話上」
松谷みよ子著 筑摩書房
次回の予定は、2023年4月21日(金)です。
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