中央図書館「大人のためのおはなし会」第44回 2022年10月
2022年10月21日(金)は、世田谷区立中央図書館「大人のためのおはなし会」でした。
秋晴れの清々しい日になりました。埼玉からわざわざお出でいただいた方もいらして、11名の方々にお参加いただきました。
「おはなし」を聞くのが初めての方も多かったのですが、皆さん、熱心に聞いてくださいました。
「ばあさまと踊る娘たち」は、奥山の婆さまの家に、夜な夜な大勢の娘たちが訪ねて来て、美しい歌声と手拍子で楽し気に踊り明かしていく。困った婆さまは、法覚坊さまに相談に行くと、「ナスを食べさせろ」と教えられて・・・。「しゃんこ、しゃんこ」の歌が、耳に残り、婆さまの寂しさが胸に沁みる「おはなし」。
「トウモロコシどろぼう」は、三人の息子たちが泥棒を捕まえられるか?という成功譚。蛙を味方につけた末息子が美しい鳥を捕まえると、綺麗な娘になり、二人は結婚するハッピーストーリ。蛙を大事にしなければ。
「こしおれすずめ」は、雀の昔話といえば「舌切り雀」だが、今回は「こしおれすずめ」。石に当たった雀を介抱したお婆さんが、雀の落としていった種を植えると、大きな沢山の「瓢箪」がなり、ひさごにすると米が溢れて富栄えた。隣のお婆さんは、欲を出し雀の、それも三羽の雀の腰を折ったので、「瓢箪」から出てきた虫や蛇に噛まれて、重い病の床についてしまう「因果応報」の「おはなし」。
「ほらあなさま」は、富山県の「元取山」の謂れの「おはなし」。立派なお椀やお膳を貸してくれる「はらあな」から、借りたまま返さない男「欲張り」さん。生まれた子どもは、10歳になるまで歩くことがなかったけれど、急に米の俵を抱えて洞穴へ出掛けて行き、中へ入って行ってしまった。中から「これで、元を取った」と声が聞こえてきた。「ほらあなさま」の野太い声と頼むときの「ぱん、ぱん」の二拍手の音が小気味よくいつまでも、耳の奥に響いてくる。
「リンゴ娘ニーナ」は、イタリアの昔話。リンゴのかごに入れられたニーナが、お城でいろいろな試練に合う。衣装ダンスの美しい男の人の手助けで、魔法使いモルガンから魔法のクッションを取ってくる。魔法は解け、衣装ダンスの美しい男の人は王子になり、二人は結婚して、めでたしめでたしに。
「えすがたあねさま」は、愛しい女房の「絵姿」が風に飛ばされ、殿様に見つけられる。殿様に気に入られ、女房はお城に連れされてしまったので、男は栗を売りにお城へ。男の声を聞き、笑った女房に、殿様も栗売り姿になり、女房に言われて城の外へ。男と女房は、城に残り城の主になったそうな。
六つの「おはなし」には、秋の実りの食べ物が出て来ました。「瓢箪」は不味かったのですが、他の五つの「おはなし」の中に美味しい秋の実りを見つけられたでしょうか?会場には、柿と栗が飾られました。
テーマ:実り
☆プログラム☆
ばあさまと踊る娘たち -日本の昔話-
「松谷みよ子の民話 下」松谷みよ子著 筑摩書房
トウモロコシどろぼう -メキシコの昔話-
「子どもに聞かせる世界の民話」
矢崎源九郎編 実業之日本社
こしおれすずめ -日本の昔話-
同名絵本 瀬田貞二再話 瀬川康男画 福音館書店
ほらあなさま -日本の昔話-
「日本のむかしばなし」 瀬田貞二文 のら書房
リンゴ娘ニーナ -イタリアの昔話-
「子どもに語るイタリアの昔話」
剣持弘子訳・再話 こぐま社
えすがたあねさま -日本の昔話-
同名絵本 大川悦生文 梅田優作絵 ポプラ社
次回は、2022年12月16日(金)の予定です。
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