大人のためのおはなし会第36回 2022年11月
2022年11月18日(金)は、玉川ボランティアビューローでの「大人のためのおはなし会第36回」でした。
風もなく素晴らしい小春日和になりました。コロナ感染の第8波が寄せてきている状況でしたが、遠方からの方もあり、4名の皆様にご参加いいただきました。
マイヤース景子先生が、刊行45周年になる、佐野洋子作「100万回生きたねこ」に関するお話しをしました。
友人から「100万回生きたねこ」の感想を訊かれました。その友人は知り合いに感想を聞かせて欲しいと頼まれ、書店で立ち読みしようとしましたが、封がしてあって読めなかったそうで、私への問いになりました。知り合いのお兄さまは余命を宣告された方で、弟さんに是非とも「100万回生きたねこ」を読むようにと勧めたそうでした。
「読む人によって、また読む時によって、さまざまな印象を読み手に与える希有な絵本」は、死を前にされた方が弟さんに読んで欲しいと願う本なのでした。
45周年記念限定版が新たに出版されるとのことで、既存の絵本に封がしてあったのでしょうか?
限定版は、一回り小さくなった真っ赤な装丁の素敵な「100万回生きたねこ」で12月に出版予定です。手に取って読み直したいと思います。
今回の「おはなし会」は、語り手たちが少しの緊張感をもったまま、プログラムが進みました。
「ふしぎな大かぼちゃ」は、貧乏なお百姓が、長者からの意地悪にめげず、炒った粟の種から出たかぼちゃの芽を育てます。実ったかぼちゃの中からお囃子が聞こえてきて見物人が押し寄せ、お百姓は大金持ちになります。
「七人さきのおやじさま」は、奇想天外な楽しいおはなしです。旅人が、ある百姓家に宿を頼むと、父親に聞くよう促されます。頼みを聞いてくれる最後のおやじさまは、はたして何処に寝ていたでしょうか?
「かちかち山」は、皆さんが良く知っているおはなしですが、この再話はリズミカルにおはなしが進み、お爺さんと狸、ウサギと狸の掛け合いも歌に乗せて語られます。重苦しさが残らないで、きっと子どもたちも喜んでくれるおはなしだと思います。
「こなべどんは、“ここで、おいらのお出ましだ“と、お婆さん思いのこなべどんが、ころころころがって、豆、肉じる、金貨を運んできます。でも・・・、お婆さんは欲を掻きすぎましたね。
「カッパと瓜」は、治兵衛さの優しさと、無邪気なカッパのやりとりが楽しく、聴き手の笑いを誘いました。カッパは万病に効く薬の作り方を、治平衛さに耳打ちで教えてくれます。聞き終えて、温かな余韻の残るおはなしでした。
「ハーメルンの笛吹き男」は、誰もが一度は聞いたことのあるおはなしですね。伝説に基づいた話なので緊迫した語りで、聴き手は引き付けられました。おはなしが終わるとホッと息を吐きだし満足感に包まれました。130人の子どもが忽然と姿を消したことは歴史的事実で、移民説やペスト説等々、今でも研究が続く伝説だそうです。
☆プログラム☆
ふしぎな大かぼちゃ -日本の昔話-
「かもとりごんべえ-ゆかいな昔話50選-」
(岩波少年文庫) 稲田和子編 岩波書店
七人さきのおやじさま-ノルウェーの昔話-
「世界のむかしばなし」
瀬田貞二訳 太田大八絵 のら書房
かちかち山 -日本の昔話-
「日本の昔ばなし1」(講談社文庫)
松谷みよ子著 講談社
- 休憩 -
こなべどん -ドイツの昔話-
「世界のむかしばなし」 瀬田貞二訳
太田大八絵 のら書房
カッパと瓜 -日本の昔話-
「おはなしのろうそく31」平方浩介再話
東京子ども図書館編・発行
ハーメルンの笛吹き男
-グリム兄弟『ドイツ伝説集』より-
レナーテ・レッケ文
リスベート・ツヴェルガー絵
池田香代子訳 BL出版
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