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中央図書館 大人のためのおはなし会 第65回 2026年4月

  • 3 時間前
  • 読了時間: 6分

 2026年4月17日(金)は、世田谷区立中央図書館にて「大人のためのおはなし会」でした。

 本日のおはなし会は、代表のマイヤース景子からの「本日はお天気も良く、花水木が満開の季節になりました。本日のテーマは『夢の世界』。夜に夢を見ても朝には覚えていないこともありますが、夢には睡眠中に見る夢や、これからやりたいことなど希望や目標のことを夢と言ったりもします。本日は日本や異国で紡がれてきたさまざまな夢の世界のおはなしをどうぞお楽しみください。」という挨拶で始まりました。

 最初のおはなしは日本の昔話で「夢の蜂」。

 仲の良い二人の商人が旅商いの途中にひと休みしていると、寝ている男の鼻の穴から蜂が出たり入ったりしていました。不思議に思ったもう一人の男があとを追いかけていくと蜂は白い椿の根元の穴に入り、再び男の鼻の穴へ戻っていきました。のちに目を覚ました男が「白い椿の下に小判がつまった壺があった夢を見た」というのを聞き、起きていた男はもしやと思い、椿の根元を掘ると本当に小判がつまった壺があり、男はそのお金で酒屋を始め大金持ちになりますが…。蜂によって夢と現実が交錯するような不思議なこのおはなしにはクスッと笑えるどんでん返しの明るい結末があり、落ち着いた声とテンポの語りに楽しく爽やかな気分になりました。

 二番目のおはなしはアメリカの絵本作家創作の「ちいさいちいさいぞうのゆめ…です」。

 花の中に住んでいる、若草色で歌うのが好きでねずみくらいの大きさのちいさなちいさなぞう。いつも夢に出てくるのは草色の土地と心やさしい歌でした。僕の生まれた土地は海の向こうだろうか…?海鳥、波、風に尋ね、風に連れていってもらって着いたところは砂浜でした。ここは僕のふるさとなのだろうか…?花、石、虫に聞き、自分で探すよう言われて丘を登ると巣があり、そこにいた同じちいさいちいさいぞうに温かく迎えられたのでした。孤独なぞうが仲間と会えて心が温かくなりました。幻想的な雰囲気の語りで、おはなしの世界に引き込まれました。

す。三番目のおはなしは日本の昔話で「見るなの花座敷」。

村祭りに現われたいとしげな娘を見初めた若者が、娘のあとをついて山に入りやがて娘と一緒に暮らすようになります。ある日、娘は家を留守にすることになり、十二の月の座敷を開けて見てもいいが二月の座敷だけは絶対に開けてはいけないと言ってでかけます。若者はさまざまな月の座敷を見て楽しみましたが、やがてどうしても二月の座敷が見たくなり…。昔から禁止や制限がしばしば守れないのは人間の悲しいさがのようで最後は悲しい結末を迎えてしまいますが、それぞれ十二の月ごとの、一月のお正月から十二月の雪景色まで日本の四季折々の情景や行事の数々が、優しい語りによってその美しい様子が思い浮かびました。

 四番目のおはなしはイギリスの昔話で「お星さまたち」。

 昔むかしの大昔、そのまた昔の大昔…で始まるおはなしです。お星さまと遊びたいと言って泣く女の子が、ある晴れた日にお星さまを自分で探しに行くことにしました。池に飛び込んだり小川でバシャバシャしたり、いい人(妖精)たちと一緒に踊ったりしたけれどお星さまには全然会えません。そこでいい人(妖精)たちが「四つ足に足なしのところへ連れて行ってもらい、段なし階段を登れ」というメッセージを女の子に授けます。そして女の子はついに段なし階段にたどり着き、はるか天上にピカピカ光っているもののところへいこうとしますが果たして…。ファンタジーな夢の世界のおはなしでしたが、どの場面も女の子を始めすべての登場人物の輪郭がはっきりとしてキラキラしている印象でした。不思議なメッセージにも心が躍りました。

 五番目のおはなしはグリムの昔話から「金の毛が三本ある悪魔」。

 「福の皮」に包まれて生まれてきた幸運の男の子が、危機感を持った王様に生まれてすぐに川に捨てられたり、長じては姫との結婚を反対され、許してもらうために悪魔の金の毛を三本持ってくるよう無理難題を押し付けられ地獄の悪魔の家に向かいます。そこにはひとりの老婆がいて、若者をアリの姿に変えて匿い、眠っている悪魔から知恵と三本の毛を抜き取り若者に与えてくれました。若者は難問を見事に解決し、宝を持って帰り、王様に悪魔の三本の毛を差し出し、姫と結婚して幸せになりました。最後に欲深い王様が川の渡し守に仕事を交換させられて渡し守になってしまうのがユーモラスですが少し気の毒にも思いました。でも因果応報ですね。 穏やかでゆったりとした語りの「困難な旅に出て無事に戻ってくる」おはなしはハッピーエンドで安心感がありました。

 最後のおはなしはアイスランドの昔話で「正直な若者とねこ」。

 ある正直な若者が、父親が死んだ日に見た夢の中で「父親の遺産の半分は貧しい人にあげ、残りの半分は海に捨てるように。その時浮かんでいるものがあったら紙切れでも引き上げて大事にするように。」という不思議なお告げの声を聞きます。若者は悩みましたが思い切ってお告げの通りにします。そして海に浮かんでいたものを引き上げると畳んだ紙に6スキリングの小銭が入っていました。若者はそれを手に旅に出ます。途中、泊めてもらった家で初めて猫を見た若者は6スキリングで猫を譲ってもらいました。次に泊めてもらった家では猫と一緒に王様のお城に行くように勧められました。若者が猫を連れてお城に行くと、お城のダイニングでは大変なことが起こっていたのでした…。

 正直な若者が夢のお告げを素直に信じて実行したおかげで若者はお姫様を娶り一国の王となることができました。正直は大いなる美徳ですね。また、自分が王になった時にかつて泊めてもらった二軒の家の人たちを呼び寄せて大臣にするなんて、義理堅く優しい性格が滲み出ていてほっこりしました。落ち着いた語りにより、若者の実直さがよく伝わりました。

今回は「夢の世界」というテーマに因んだおはなしでしたが、偶々かもしれませんが今回の六つのおはなしが全て「旅」と深い関わりを持ったストーリーであったことに気がつき、とても興味深く思いました。「夢」と「旅」はどちらも未知のものへの期待や不安を感じるからでしょうか?もっと考えてみたいと思います。


☆プログラム☆

 

テーマ : 夢の世界


夢の蜂 -日本の昔話-

「はなさかじい(日本の昔話1)」,

おざわとしお再話 赤羽末吉画 福音館書店

 

ちいさいちいさいぞうのゆめ・・・です -創作-

同名絵本 ルース・ボーンスタインさく おくだつぐお訳 ほるぷ出版

 

見るなの花座敷 -日本の昔話-

「読んであげたいおはなし 松谷みよ子の民話上」(ちくま文庫)

松谷みよ子著 筑摩書店

 

お星さまたち -イギリスの昔話-

「かじ屋と妖精たち」(岩波少年文庫) 脇明子訳編 岩波書店

 

金の毛が三本ある悪魔 -グリムの昔話-

 「子どもに語るグリムの昔話4」 佐々梨代子・野村泫訳 こぐま社

 

正直な若者とねこ -アイスランドの昔話-

「子どもに語る北欧の昔話」福井信子・湯沢朱美編訳 こぐま社

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