大人のためのおはなし会 第38回 2023年3月
2023年3月17日(金)は、「大人のためのおはなし会」が玉川ボランティアビューローで開かれました。
14日に桜の開花宣言がありましたが、今日は花冷えになりました。肌寒く感じる中、11名ものお客様をお迎えすることができました。
初めてのお顔が多かったので、まず初めに、マイヤース景子 先生が、私たち「おはなしたまごの会」の日頃の活動について、昨年8月には10周年記念のおはなし会を開催したこと等を、お話させていただきました。
続いて、先生は最近観た映画「丘の上の本屋さん」について話されました。本を通して、古書店主の老人リベロとアフリカ移民の少年エシエンの、年齢や国籍を超えた交流を描いたものです。リベロが貸す本には、私たちが知っている題名が沢山出てきます。最後にリベロは「君にとって、これからの生き方に大切な本」をエシエンに手渡して別れる、という内容でした。
私たちの活動も、おはなしを選ぶために本を読み込み、皆さんに伝えたいと思えるおはなしを選ぶことから始まっています。
今日は静岡県沼津市の木負(きしょう)に伝わる「せんにんのミカン」という昔話から始まりました。彦兵衛さんの畑で1本に1個だけ実ったミカンがどんどん大きくなり、もぎ取ろうとしたところ、中から声がします。穴をあけて見ると、二人の老人が碁を打っていました。一方の老人が勝ちますが、彦兵衛さんが味方をしたことが見つかって、相手方の老人に碁石をなげつけられます。彦兵衛さんが避けている間に老人は消え、投げられた碁石は種になっています。その種を蒔くと甘く美味しい、今に続く木負ミカンが実ったというおはなしです。地元に伝わるおはなしは、イキイキとしていますね。
「空の星」は、星とだけ遊びたいと強く願う小さな娘のおはなしです。星を探し回りますが見つかりません。やがて、妖精に教えられた「四つ足」「足なし」「段段のない階段」と辿り、階段を登りに登るのですが…。星を捕まえることができたのでしょうか。
「蛙ぼたもち」は、語り手の故郷の栃木の言葉で語りました。根性の悪い姑のばっぱと、お嫁さんの面白可笑しいおはなし。ばっぱが、ぼたもちに言い聞かせるところを、聞いてしまった嫁さんが、機転を利かせて蛙と入れ替えてしまいます。皆さんの笑い声があがりました。飛び出す手作りの小道具が、さらに楽しく盛り上げました。
♪手遊び「ピッピとチッチ」では、♪飛んでけピッピ ♪お帰りチッチ“で「あっ!」という声が上がりました。楽しんでいただけたようです、春らしい手遊びでした。
「少年と小だぬき」は、少年と小だぬきとの心温まるおはなしです。お母さんたぬきに萩の花とすすきの枝を使って、人になる術で女の子に変えてもらった小だぬきは、あこがれの町に出て行きます。怪我をした少年の傷の血と泥を、自分の大事な尻尾でぬぐってあげます。少年は女の子がたぬきだと気付きますが、感謝の印にキャラメルを渡し、女の子の好きな♪夕焼けこやけぇの~を歌ってあげます。そして、自転車の後ろに乗せて山の家まで送って行きます。佐々木たづさんのおはなしは、聞いた後いつも素敵な余韻があります。
「ラプンツェル」は、みなさんが良く知っているおはなしです。映画とは違う、語り継がれたグリムの昔話をたっぷりと聞いていただきました。
☆プログラム☆
せんにんのミカン -静岡の昔話-
「読みがたり むかし話」
静岡県むかし話研究会編 日本標準
空の星 -イギリスの昔話-
「イギリスとアイルランドの昔話」
石井桃子編訳 福音館書店
蛙ぼたもち -日本の昔話-
「おはなしおばさんの小道具」藤田浩子著
一声社
- 休憩 -
♪フェルト人形遊び
「二羽の小鳥 -ピッピとチッチ-」
少年と子だぬき -創作-
「白い帽子の丘-童話集-」
佐々木たづ著 鈴木悦郎 装丁・挿画 三十書房
ラプンツェル -グリムの昔話-
「おはなしのろうそく5」
松岡享子訳 東京子ども図書館
次回は、2023年5月19日(金)です。
Comments