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中央図書館大人のためのおはなし会 第53回 2024年4月


 2024年4月19日(金)は、世田谷中央図書館「大人のためのおはなし会」でした。

 初夏のような汗ばむ日で、折からの強風で名残の桜もすっかり吹き飛ばされてしまいました。

 図書館職員の方を含む10名のお客様がお出でくださいました。4月にふさわしいテーマの「出会い」に添った様々な出会いの「おはなし」が語られました。

 「娘の骸骨」は、図らずも行き倒れてしまい野原に打ち捨てられていた娘の骸骨と老爺が出会い、娘の願いは叶えられ成仏することができ老爺も幸せになるという「おはなし」です。方言を交えての語りは、「骸骨」からくる恐ろしいイメージはなく、ただただ哀れな娘の思いが伝わってきました。騙されてるかもと思いながらも娘の切なる願いを叶えてやろうという老爺の優しさも深く染み入りました。

 「おだんごぱん」は、マイヤース景子先生のキャラクターがよく表れていて聞いてる方もつい参加してしまう楽しい語りでした。おじいさんの望みで箱を浚(さら)えた粉にクリームを詰めてバターで焼いた美味しいおだんごぱん。おばあさんが冷やしている間に ころころ逃げ出してウサギ、オオカミ、クマと次々に出会いを重ねますが、上手に「おだんごぱんの歌」を歌って逃げることが出来ました。が、頭のいいキツネは「おだんごぱんの歌」を褒め上げ、もっと聞きたい、もっと近くへと言い、おだんごぱんがキツネの舌の先に乗った途端パクリ! 最後は食べられてしまう出会いでした。

 「針穴つばき」は、嫁入り前の娘と笛の名手の椿の精との出会いと別れの「おはなし」です。早くに母親を亡くした娘が母の好きな椿を思いながら笛を吹いていると白い着物を着た美しい若者がどこからともなく現れ、毎夜一緒に笛を吹くうちに娘は若者に惹かれていくのですが娘に縁談が持ち上がり、泣く泣く嫁いでいくのです。いつまでももの悲しい笛の音がいつまでも聞こえてくるようでした。

 「死人のよめさん」は、タイトルに似合わない、お客様もくすくす笑い出すユーモラスなお話でした。神無月(10月)に出雲に集まる神様たちは沢山の縁結びをします。だんだん疲れていい加減になるとそれによってできたご縁もいい加減になるそう。三十過ぎても縁のないこの男もその一人。長者のところの、餅を詰まらせて死んだ娘と夫婦にされてしまいます。がっかりはしたが、一目自分の嫁の顔を見たいと思い夜中に墓を掘り返して娘を抱き起すと、娘は餅を吐き出して生き返りめでたく男と結ばれるという、笑いがいっぱい、ハッピーエンドの楽しい「おはなし」でした。

 最後は「ネズミの大てがら」。小さなネズミの王様が王様に穀物を貸してもらうよう頼み、心優しい王様は承知します。ネズミ達は何万と列をつくって倉から穀物を運び出し、次の年に約束通り利息も付けて穀物を倉に返しました。ある時、ネコの好きな隣の国の王様が攻めてきました。ネズミの王様は助けを申し出、訝しむ王様に小枝を用意してもらいます。その小枝に乗って川を渡ったネズミ達は夜の間に敵の武具をかじったりちぎったりして大暴れをします。おかげで王様は勝つことができました。助ける時にネズミが出した条件に国中からネコを残らず追い払うようというのがあり、それでこの国にはネコが一匹も居ないというオチで皆から笑いがでました。


☆プログラム☆

 娘の骸骨(しゃれこうべ) -日本の民話-

  「読んであげたいおはなし上-松谷みよ子の民話―」(ちくま文庫)

  松谷みよ子著 筑摩書房

 

 おだんごぱん -ロシアの民話-

  同名絵本 せたていじ訳 わきたかず絵 福音館書店

 

 針穴つばき -日本の昔話-

 「針穴つばき」 (村田厚子再話集) 村田厚子 正文社

 

 死人のよめさん -日本の昔話-

  「やまんばのにしき」-日本昔ばなし」 (ポプラポケット文庫)

  松谷みよ子文 梶山俊夫絵 ポプラ社

 

 ネズミの大てがら -チベットの昔話-

  「おはなしのろうそく30」 光吉夏弥訳 東京子ども図書館

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