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大人のためのおはなし会 第33回 2022年5月

 2022年5月20日(金)は「大人のためのおはなし会 第33回」でした。

 玉川ボランティアビューローでの開催は2020年9月の第27回以来となります。

 第28回と第29回は練習を重ねプログラムも作成しましたが、コロナ禍でやむなく中止になりました。また第30回~第32回は会員だけでZOOMを使っての「おはなし会」を行いました。

 当日は五月晴れになり、お客様にもいらして頂き、念願の対面での「おはなし会」を再開することができました。

 2月24日のロシア軍のウクライナ進攻以来、世界の人々が不安と恐怖を感じながら過ごしています。私たちは学習会や図書館でのおはなし会で、ロシアやウクライナの絵本を紹介しているところです。

 今日のマイヤース景子先生の始めのお話しは、戦争に巻き込まれた子どもたちを描いた絵本の紹介でした。

 『O(オー)じいさんのチェロ』『この本をかくして』『おとうさんのちず』いずれも音楽、本、地図によって生きる力を得て、生き延びる子どもの姿を伝えています。

 加えて、ヒットラーが家庭で受けた教育の負の連鎖を、精神分析家として追及したアリス・ミラーの『魂の殺人 ―親は子どもに何をしたかー』の紹介がありました。常人では理解し難い理不尽な軍事進攻を行っているプーチンについても、将来プーチンの幼少期からの心の闇を研究する機会があるのではないか、そしてそこには昔話を聞いたり物語を読んだりする経験があったのだろうか知りたいと、お話しを締め括られました。

 通常は中央図書館での大人のためのおはなし会にテーマを設けているのですが、中央図書館での会を二人語りにしているため、玉ボラで開催の今回が「食べ物・お料理」のテーマに添った「おはなし」の数々と手遊びの内容になりました。

 グリムの昔話の「嫁選び」は、母親の忠告に従って家庭生活に大切な力量の良い嫁を選んだ息子のおはなしでした。

 「ぼたもち」はトンチのある小僧さんに和尚さんがやり込められます。金仏のクワーンクワーン、クッタクッタの音が効果的な愉快な「おはなし」でした。

 「だんまりくらべ」はトルコに伝わるナスレディン・ホジャのわらい話のひとつで、夫婦の日常生活の一コマを切り取った「おはなし」です。状況が手に取るように分かる語りで、笑いが沢山湧きおこりました。

 「食わず女房」は日本の各地にある昔話で、伝承が少しずつ異なるようですが、菖蒲と蓬が助けになる五月の節句の由来譚でもあります。今回は福島弁で語られ、擬音が沢山使われていて怖くて楽しい「おはなし」でした。

 「井戸の竜」は、末の王女が「お父様を塩の様に愛しています」と言って城から追い出されるモチーフで始まるのですが、その後の展開がすこぶる楽しくほっこりする「おはなし」でした。王女と結婚した貧乏な夫が出稼ぎに出ます。途中、竜の住む井戸に水を汲みに行き、そこで竜と遭遇した時「やぁ友達!」と呼びかけます。この友達という一言で竜は危険な存在から支援者に変わり、夫にザクロ(実は種が全てダイヤモンド)を3つくれます。こうして金持ちになった夫婦は、妻の父親と塩気のない食事をすることで、最初の誤解が解け大団円になります。

 同じ食べ物・お料理のお話でも、一つひとつにお国柄が出て、たっぷり「おはなし」を愉しんでいただけたようでした。


テーマ:食べ物・料理

☆プログラム☆    

手遊び「たまごを ぽーん」                            

嫁選び -グリムの昔話-                           

 「グリム童話全集」橋本孝訳 天沼春樹訳

  シャルロット・デマトーン絵 西村書店

ぼたもち(和尚さんと小僧さんより)

-日本の昔話-                

 「子どもに聞かせる日本の民話 新訂」

 大川悦生著 実業之日本社

だんまりくらべ -トルコの昔話- 

 「子どもに語るトルコの昔話」

  児島満子 編・訳 こぐま社                                          

手遊び&ぬいぐるみ「メロンパン」                 

食わず女房 -日本の昔話-                    

 「かたれやまんば 第2集」

  藤田浩子の語りを聞く会編集・発行

井戸の竜 -ギリシアの昔話-                     

 「竜の本」(fukkan.com 世界の民話館)

  ルース・マニング=サンダーズ編著 

 西本鶏介訳 ブッキング

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