大人のためのおはなし会 第42回 2023年11月
2023年11月17日(金)「大人のためのおはなし会」が玉川ボランティアビューローで開かれました。
この日は、警報級大雨の予報が前日から出ていましたが、朝から降りしきる雨の中を5名方が足を運んでくださり、三人が2話ずつ語る特別企画「三人語り」をお聴きいただきました。
初めのおはなしは、「とりつこうか ひっつこうか」です。「とりつこうか ひっつこうか」という気味の悪い声の呼び掛けで、話が進みます。「とりつかば とりつけ」と返した人の好いじいさんとばあさんは、体に付いた小判で金持ちになります。真似をする隣の根性くっさりのじいさとばあさは、失敗するお決まりの話ですが、そうなるだろうと思いながらも、クスッと笑ってしまいました。
「まぬけなトッケビ」は、忘れん坊で人の好いトッケビと一人暮らしの男の子との交流のおはなし。「アムゲヤ アムゲヤ」と呼んで、手を2回パンパンと叩くフレーズがトッケビの世界に連れて行ってくれます。トッケビは気前よくお金・鍋・洗濯棒を男の子に持ってきますが、トッケビ王に「無駄使いだ」と叱られてしまいます。あのトッケビが、天から帰ってこられると良いですね。
「びんぼうこびと」働き者のお百姓が、いくら働いても貧乏から抜け出せません。ある日、お百姓が弾くバイオリンに浮かれ出て来た小人たちこそ、その原因でした。お百姓は、ある方法で、小人たちを引っ越しさせることに成功してから、暮らしは見る見る良くなります。一方、その様子を妬んだ金持ちは、とんだことになりました。
「モチモチの木」は、絵本であまりに有名なおはなしですが、語りで聴くと心に深く染み入ってきます。「人間、優しささえあれば、やらなきゃならねえことは、きっとやるもんだ」という爺様の言葉は、ずっと豆太の心に留まって生きる芯になるのだと思いました。
「わらのうし」 お婆さんが「藁の牛、藁の牛、横っ腹タールの藁の牛、おいしいごちそうたっぷりお食べ!」の唱え言葉を掛けると、熊、狼、狐が次々にタールにくっつき、お爺さんに穴倉に捕らえられてしまいます。獣たちは、熊が蜂蜜、狼が羊、狐がアヒルや鶏、鵞鳥を持ってくる、とお爺さんに約束して逃がしてもらいます。翌日には皆が約束を果たして、お爺さんとお婆さんはその後、幸せに暮らすことができます。穏やかな牧歌的な景色が目に浮かびました。
「かっぱと瓜」は、かっぱの薬のおはなしです。かっぱが取り上げられた腕を返してもらいに来る様子や、治平衛に薬の作り方を教えるときの言葉のやりとりに、笑い声が上がりました。日本の昔話のゆったりした良さが味わえるおはなしでした。
今日はウクライナの昔話が2つありました。語り手は初めに「戦禍に喘ぐウクライナは昔話の宝庫です、一日も早く平和が訪れますように」と話し、おはなしを始めました。聴き手の皆様も同じ気持ちでいらしたと思います。
-三人語り-
☆プログラム☆
とりつこうか ひっつこうか -日本の昔話-
「子どもに語る日本の昔話3」
稲田和子・筒井悦子著 こぐま社
まぬけなトッケビ -韓国の昔話-
「おはなしのろうそく30」
朴鍾振訳 東京子ども図書館編・発行
びんぼうこびと -ウクライナの昔話-
「おはなしのろうそく26」
内田莉沙子再話 東京子ども図書館
モチモチの木 -創作-
「ベロ出しチョンマ」 斎藤隆介作 滝平二郎絵 岩崎書店
わらのうし -ウクライナの昔話-
同名絵本 内田莉莎子文
ワレンチン・ゴルディチューク絵 福音館書店
カッパと瓜 -日本の昔話-
「おはなしのろうそく31」
平方浩介再話 東京子ども図書館編・発行
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