大人のためのおはなし会 第44回 2024年5月
2024年5月17日(金)10時半から、玉川ボランティアビューローにて「大人のためのおはなし会」を開催しました。
朝から日差しのある良いお天気の中、6名のお客様がおはなし会にいらしてくださいました。
最初のおはなしはアルゼンチンの民話「四人の子ども」です。
年取ったお母さんにはコルコル、レチューサ、アラーニャ、ピカフロルの4人の子どもがいました。自分達で仕事を探すように言うとコルコルは森へ、レチューサはお墓へ、アラーニャは糸つむぎのために洞窟へ、優しいピカフロルはお母さんの世話をするため家に残りました。お母さんが死ぬ間際に出ていった3人の子どもたちを呼びますがそれぞれ理由をつけて帰りません。冷たい心に神様の罰が下りミミズク、フクロウ、クモに変えられてしまいます。ピカフロルだけは恵みを与えられ、美しいハチドリになって人に喜ばれた、というおはなしです。親を大切にしない3人の兄姉と大切にした末っ子が何に変えられてしまうのか、とても興味深いおはなしでした。
二つ目のおはなしは「足折れつばめ」です。
「すずめの恩返し」は有名ですが、このおはなしは「つばめ」です。どんな恩返しをするのでしょうか。足に怪我をしたつばめを見つけたおじいさんは一生懸命介抱します。すっかり元気になったつばめは、翌年おじいさんの所へやってきて一粒のスイカの種子を落として行きます。裏の畑に植えてみると見たこともない大きなスイカがなって、そのスイカの種子が大工や木挽きに変身!新しい家をおじいさんに建ててくれます。お米や味噌も運んでくれておじいさんは一生心配なく暮らしました。大きなスイカから出てきた大工たちが家を建てる描写は威勢が良くて楽しいおはなしです。
次のおはなしは「少年と子だぬき」です。
山に住む子だぬきは人間に興味しんしん。お母さんに頼んで人間の女の子に化けさせてもらい里に降りてきます。そこへ自転車に乗った男の子が来て転んで手と膝を擦りむいてしまいます。女の子の子だぬきは介抱するのですがしっぽを見てたぬきだとわかってしまいます。けれど男の子は知らないふりをしてキャラメルを分けてあげたり「赤とんぼ」の歌を歌ってあげたり、最後には自転車の後ろに乗せてくれて2人は仲良くなって。たぬきと少年の友情と「赤とんぼ」の歌が印象深い、ほのぼのとした佐々木たづさんの童話です。
続いてアメリカのほら話「世界一のペンキやさん」が語られました。
大男のスラッピーはペンキとブラシを持たせると、とてつもない仕事をやってのけ有名になりました。空に何日も消えない広告をかいたり、高さが地面から空まで 長さは大陸横断鉄道の端から端までという看板をかいたり、パン屋さんのために見ただけでよだれの出る食パンの絵の看板をかいたり。真っ赤な火がごうごうと燃え盛ったストーブの絵の看板をかいたときは、暖かさで雪が溶けて花が咲いたり酔っ払いや宿無しが暖たまりに集まって来て大変な騒ぎになったり。その人達を追い出すために、もっと熱い大きな火をかくと向かい側の家が家事になりストーブ会社が訴えられて…看板は取り外されスラッピーはぷいっとどこかへ行ってしまいました。次から次へとほら話が飛び出し、スケールの大きさに思わず笑い声が出てしまう楽しいおはなしでした。アメリカにはこんなほら話がたくさんあるそうです。
最後のおはなしは「かちかち山」です。
畑を荒らすたぬきをおじいさんは捕まえてたぬき汁にしようと家に持って帰りますが、おじいさんが留守の間におばあさんがたぬきに騙されて縄を解いてしまいます。そしておばあさんは殺され「ばば汁」にされ何も知らないおじいさんはそれを食べてしまい気づいた時はたぬきに逃げられて、泣きながらうさぎに相談するとうさぎはたぬきを懲らしめにかかります。たぬきの背中の薪に火をつけたり、火傷に唐辛子味噌を塗りつけたり、泥舟に乗せて沈めたりと、うさぎの復讐はこれでもかと続きます。最後はたぬきが川に沈んで死んでしまい仇を打ちおはなしは終わります。
「かちかち山」は小さい頃に聞いた事がありましたが、きちんと聞くと怖いおはなしです。でもたぬきがうさぎの言葉を信じて騙されていくのが小気味よく面白く、長く語り継がれている昔話だと感じました。
☆プログラム☆
四人の子ども -アルゼンチンの民話-
「子どもに聞かせる世界の民話」 矢崎源九郎編 実業之日本社
足折れつばめ -日本の昔話-
「したきりすずめ(日本の昔話2)」
おざわとしお再話 赤羽末吉画 福音館書店
少年と子だぬき -創作-
「白い帽子の丘-童話集-」
佐々木たづ著 鈴木悦郎 装丁・挿画 三十書房
- 休憩 -
世界一のペンキやさん -アメリカのほら話-
「おはなしのろうそく33」 東京子ども図書館編・発行
かちかち山 -日本の昔話-
「日本の民話1(動物の世界)」 瀬川拓男・松谷みよ子編 角川書店
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